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科研費計画調書:研究目的 [2016/12/28 22:31]
yfukuda [研究の学術的背景]
科研費計画調書:研究目的 [2016/12/28 22:32] (現在)
yfukuda [研究の学術的背景]
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  現在、チベット寺院で伝承されているチベット論理学は、インドの仏教論理学をベースにしながら独自の発展を遂げたものである。その基礎は、10世紀以降のインド仏教後伝期から15世紀初頭ゲルク派が成立するまでの間、カダム派のサンプ僧院を中心に形成されたと考えられる。従来、この時期の資料は失われ、後代の著作における引用を通して知られるのみであった。  現在、チベット寺院で伝承されているチベット論理学は、インドの仏教論理学をベースにしながら独自の発展を遂げたものである。その基礎は、10世紀以降のインド仏教後伝期から15世紀初頭ゲルク派が成立するまでの間、カダム派のサンプ僧院を中心に形成されたと考えられる。従来、この時期の資料は失われ、後代の著作における引用を通して知られるのみであった。
  
- しかし、2002年にラサのデプン寺から多数の古写本が発見され、そのうちカダム派の諸著作が2008年以降『カダム全集』(ペルツェク研究所)として90巻影印版で刊行された。そこに後伝期最初期のゴク(1059--1109)、チャパ(1109--1169)、ツァンナクパ(12世紀)、チョンデンリクレル(1127--1311)の著作のほか、著者不明の論理学書も含まれており、これまで見ることのできなかったチベット論理学草創期の多数の著作を直接読むことができるようになった。+ しかし、2002年にラサのデプン寺から多数の古写本が発見され、そのうちカダム派の諸著作が2008年以降『カダム全集』(ペルツェク研究所)として現在までに90巻影印版で刊行された。そこに後伝期最初期のゴク(1059--1109)、チャパ(1109--1169)、ツァンナクパ(12世紀)、チョンデンリクレル(1127--1311)の著作のほか、著者不明の論理学書も含まれており、これまで見ることのできなかったチベット論理学草創期の多数の著作を直接読むことができるようになった。
  
  しかし、その文章はゲルク派以降の論理学書とは様相の異なる、極めて難解なものであり、刊行されて間のないこれらの文献を十分に読解できるだけの研究の蓄積は未だ存在しない。これらの文献に取り組んでいる研究者として、ウイーン大学のPascal Hugon博士と東京大学大学院で博士号を取得した西沢史仁氏を挙げることができる。西沢氏の博士論文『チベット仏教論理学の形成と展開』(東京大学、2011年)はまさにこの初期チベット論理学の歴史については網羅的な研究であるが、概念の形成史については「正しい認識方法の定義」という一点を考察するのみである。Pascal氏も精力的に読解に取り組み、その成果が順次公表されているが、一人の研究者のカバーできる範囲はまだ小さいと言わなければならない。  しかし、その文章はゲルク派以降の論理学書とは様相の異なる、極めて難解なものであり、刊行されて間のないこれらの文献を十分に読解できるだけの研究の蓄積は未だ存在しない。これらの文献に取り組んでいる研究者として、ウイーン大学のPascal Hugon博士と東京大学大学院で博士号を取得した西沢史仁氏を挙げることができる。西沢氏の博士論文『チベット仏教論理学の形成と展開』(東京大学、2011年)はまさにこの初期チベット論理学の歴史については網羅的な研究であるが、概念の形成史については「正しい認識方法の定義」という一点を考察するのみである。Pascal氏も精力的に読解に取り組み、その成果が順次公表されているが、一人の研究者のカバーできる範囲はまだ小さいと言わなければならない。
  • 科研費計画調書/研究目的.txt
  • 最終更新: 2016/12/28 22:32
  • by yfukuda