研究成果

 本研究課題の最終年度として、成果の集約をしている。

 まずカダム全集を中心とした論理学文献の入力状況に関しては、以下の文献を2016年度中に公開する。

  1. bcam ldan rig pa’i ral gri, rtsod rigs rgyan gyi me tog(Vol.55, pp.33-179)
  2. chu mig pa seng+ge dpal, tshad ma rnam par nges pa’i ‘grel pa (Vol.87, pp.11-308)
  3. rngog blo ldan shes rab, tshad ma rnam par nges pa’i dka’ ba’i gnas rnam par bshad pa 補完入力
  4. byang chub sems dpa’ dznya na shr’i, rig pa'i snying po de kho na nyid bsdus pa gsal byed nyi ma'i 'od (Vol.44, pp.215-247)
  5. gnyags, tshad ma'i spyi skad bsdus pa (Vol.44, pp.197-213)
  6. sh’a kya’I dge bsnyen chos kyi bshad pa, tshad ma de kho na nyid bsdus pa nye bar bsdus pa (Vol.88, pp.437-478)
  7. blo gros mtshungs med, tshad ma’i don bsdus pa (87, pp.587-708)本研究課題以外での入力が進行中。年度内には公開予定

その他に、主な著作の科段(sa bcad)も整理中で、2016年度内に公開予定である。

 本研究課題において入力したテキストに関しては、検索のみならず、テキストデータも公開する予定である。

 また、研究発表、プロジェクトの紹介、研究論文については、Research Resultsを参照のこと。

 本研究課題は、チベット論理学がどのような過程で形成されていったかを解明するための基礎研究を提供することを目標としている。

 初期のチベット論理学の文献は失われたと考えていたが、2002年にラサで大量に発見され、2008年以降、順次刊行されつつある。これらの文献は草書体で書かれた写本であり、略字や誤記が多数含まれ、印刷も不鮮明な箇所があり、読みづらい。また議論内容が、われわれに身近な後代のチベット論理学と大きく異なっているため、文脈を把握することも困難である。これらを情報処理の手法を用いながら分析し、難解な初期チベット論理学文献の読解に資する基礎資料を作成することが本研究課題の当面の目標である。

 本研究課題の2年度目である2015年度に入力したテキストは、次のものである。

  1. phya pa chos kyi seng+ge, tsdad ma yid kyi mun sel
  2. Author unknown, tshad ma'i legs bshad dri med bcud kyi bdud rtsi (Vol.88, pp.221-312)
  3. Chu mig pa seng+ge dpal, tshad ma rnam par nges pa’i ’grel pa, mngon sum le'u (Vol.87, pp.11-86)
  4. mtshur ston gzhon nu seng+ge, tshad ma shes rab sgron me (Vol.87, pp.449-584)
  5. (伝)klong chen rab ’byams pa, tshad ma’i de kho na nyid bsdus pa (四川民族出版社, 2000, 364p.)

 以上のうち、チュミクパの『量決択注』はまだ途中なので、それを除く四点のKWIC検索を公開している。

 本研究課題の初年度である2014年度は、まず出発点となるべきテキストの入力を進め、それらに基づいてKWIC検索ができるプログラムを作成した。2014年度に入力したテキストは、

  1. chu mig pa seng+ge dpal, tshad ma sde bdun gyi don phyogs gcig tu bsdus pa (Vol.45, pp.11-163)
  2. bcom ldan rig pa'i ral gri, tshad ma rnam par nges pa’i T’ikka rgyan gyi me tog (Vol.54-1, pp.9-325)
  3. phya pa chos kyi seng+ge, tshad ma yid kyi mun sel, Ch.1-ch.4. (Vol.8-3).

である。これに既存の入力データとしてゴク・ロデンシェーラップの『量決択難語釈』、チャパの『量決択註般若の光明』、サキャ・パンディタ『量・正理の蔵』、チョンデン・リクペーレルディの『量七部論を荘厳する華』および比較対象するものとしてゲルク派のタルマリンチェンの『量評釈註・解脱道解明』のオンラインKWIC検索サイトを公開した。本研究課題の成果については当Webサイト(http://tibetan-studies.net/early_tibetan_logic/)にて、随時情報をアップしている。

 個別的な研究として、研究代表者福田は上記検索サイトについてハイデルベルグでの国際ダルマキールティ学会および苫小牧駒澤大学における日本チベット学会チベット情報交換会において報告し、研究分担者石田はチベット語訳にしかないダルモッタラのアポーハ論について、研究協力者の崔はゴク、チャパら初期カダム派の註釈書における刹那滅論証についての研究成果を発表した。詳細はResearch Results参照。